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クォンタム・ファミリーズ
ジャンル: 単行本 ISBN: 410426203X レーベル: 新潮社 メーカー: 新潮社 ページ数: 372 発売日: 2009-12-18 出版社: 新潮社 スタジオ: 新潮社 この商品を買った人はこんな商品も買っています
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レビュー カスタマーレビュー 仏教の唯識論に似ている 量子理論を扱うと、SFというより哲学めいてくる。ハード科学でなく理論科学だからだ。そしてこの論理世界は、驚くほど仏教の唯識論に似ている。同一事象での因果の同時発現など、全く同じである。 で、面白かったかどうかと問われたら、面白かったと答える。特に中盤の展開は良かった。ただ、序章と終盤の説明的な所は残念だった。説明や解説は、小説としては興ざめである。 結末は、あざとい。いい人、素敵な世界を支持します、てな感じであざとい。 だが、かなり本気で引き込まれた。余談だが、量子理論的並行世界を使うと、心霊現象とかのオカルト体験のほとんどを説明できそうな気がする。 「われらの時代」の小説 著者と同じ年に生まれた者として、十数年前の著者の批評家としてのデビューには ちょっとした興奮をおぼえました。 本作は著者初の単独小説ということで、期待半分、「つまらなかったらどうしよう」 という思い半分でページをめくりました。 そして、「われらの時代」の小説が誕生した、という強い印象を受けました。 量子力学とネット社会をたくみに結びつけた設定は知的興奮を誘いますが、 それはさておき、私がぐっと来たのは、小説全体を通じて主人公にまつわる寂寥感でした。 本作のプロット自体に真新しいものはないのかも知れません。 『1Q84』がそうであったようなパラレル・ワールドものだといえます。 しかし、プロットの源に本物の孤独が置かれたことで、他に換えがたいものになっていると思いました。 愛する家族がいて、仕事があって、自分の思想を支持するフォロワーたちもいる。 にもかかわらず埋められない主人公の孤独が、文章からじわじわにじみ出る様子に、 うなずき、泣きました。 この孤独の質が世代特有のものなのかどうか分かりません。しかし少なくとも私にとってこの小説が、 それが参照するP.K.ディックやグレッグ・イーガンよりも、そして何度も言及される村上春樹よりも 忘れがたい、近しいものになったのは、その何ともいえない、絶対的な孤独のトーンにおいてでした。 手法に溺れすぎたか…。 批評家・東浩紀の処女小説ということだけで興味を持ち、買おうとしたところ、近所の某大手古書店において半額強の値段で出ていたので(出版後わずか1ヶ月とは!)、複雑な思いで買ってみた。 小説の体裁はSF小説なので、筒井康隆風を期待したのだが、意に反してF・K・ディック的な構成であった。 ネタバレ厳禁なので、中々説明がしづらいのだが、至るところに「哲学・科学用語」が出てくる。例えば「人間原理」というように、意味を知らない人は間違いなくここで止まってしまうだろう。 全体として、そういう専門的なターム(用語)がいきなりポンっと出てくので、私自身もそのたびに読書の流れを中断させられてしまった。 こういう手法は、東浩紀の読者層を考えれば、それほど唐突なことではないかもしれないが、いかんせん小説に集中出来ないし、作為的過ぎて興ざめしてしまう。 本作における狙いは悪くないと思う。東浩紀の「何か新しい事をやってやろう」という気概が感じられるからだ。 しかし、実際問題としては、「小説作品」として成功してはいないと思う。 今まで批評するだけの側から、批評される側への挑戦は、勇気のある行為だと思うし大いに結構であるが、公平に感想を言うと失敗作のように思う。 こういう思い切った処女小説を書くのだから、次作にこそ大いに期待したいと思うのは、私だけではあるまい・・・。 来るべき世界と生の在り方を問う形而上学的小説 来たるべきネットテクノロジーの脅威とサイエンスの可能性を示唆しつつも、 現代の「生」の在り方を問うている。 クリプキの可能世界意味論の多世界解釈を量子力学というロジックで表現した サイバーパンク(という文脈で表現するのは陳腐かもしれないが)。 個人的には村上龍の「コインロッカー・ベイビーズ」に近い読了感を得た。 多少、プロットとして村上春樹やフィリップKディックなど記号論的に狙いすぎてる 感はあるけど、わかりやすくていい。 小説としてはやや陳腐な構造を感じさせられるが、これが処女作と考えると評価に値する。 批評的側面からみるとリアリティがあり、著者の解題に思考を馳せられる。 批評家が書いた小説ではない、小説家のそれだ 批評家東浩紀氏初の小説。 内容は複雑で、緻密な計算、複線があり一読しただけではわからないけれど、 物語として非常に面白く読めた。 また、批評家としての側面がいくつかの並行世界の描写や設定に表現されており、 道州制、表象、村上春樹論、情報処理、集合知、世界経済などのキーワードが随所にでてくる。 ただ素晴らしいのは、それを登場人物に語らせすぎない点だ。 批評家としての部分を抑え、小説として破綻しないバランスがいい。 そしてこの本は、批評されること、そのコミュニティの中には著者も含めて、 広がりを見せることで価値を持つ本であろう。 |
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